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-Long interview-

2021/06/15 | 取材日:2021年5月27日

退部選手インタビュー part.5 谷口到選手

谷口 到ITARU TANIGUCHI

■1984年10月1日生まれ、茨城県那珂市出身

■茗渓学園高校→筑波大学→神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2008年度入部)

■ポジション/FL

■2020−2021シーズンまでの公式戦出場回数/140

■代表歴/日本代表10キャップ

チームは家であり、仲間は家族です。
周りの人に恵まれた13年間でした。
お疲れ様でした。コベルコスティーラーズでプレーした13年間は長かったですか、それとも早かったのでしょうか?

「早かったですね。あっという間だったように思います。先輩、同期、後輩といった周りの方々に育ててもらった13年間でした。チームに『恩返しがしたい』という一心で無我夢中で取り組んできて、1シーズンごとにいろいろなことがあり、気が付けば13年経っていたという感じです」

今後はどうされるのでしょうか?

「13年間、チームのために全力で走り続けてきたので、今は少し休んで、それから今後について考えようと思います」

谷口選手をグラウンドへと向かわせるモチベーションとは何だったのでしょうか?教えてください。

「ラグビーが好きという気持ちとコベルコスティーラーズを日本一にしたいという思い。この2つです。大学時代に怪我をして、2年間のブランクがある僕に声をかけてくれたのがコベルコスティーラーズでした。感謝の思いがあったので、その恩を返すためにも、試合に出て良いプレーをしてチームを勝たせたいと思ってグラウンドへと向かっていました。チームが勝つことで、社員やOBの方々、ファンの皆様が喜んでくださいますし、日本一になれば、コベルコスティーラーズを応援していることやチームに関わったことに誇りに思ってもらえる。だから、2018−2019シーズンの優勝はようやく目標を達成することができ、とても嬉しかったですね」

優勝できたことは谷口選手にとって大きな出来事だったと。

「大きかったですね。『ジャパンラグビートップリーグ2018−2019』決勝サントリー戦はリザーブで出場させていただいたのですが、優勝が決まった瞬間、平尾(誠二)さんやOBの方々の顔が思い浮かびました。僕が入部してから2018−2019シーズンまでの間、最高位が2位で、それ以外は4位や5位という成績でした。ずっと優勝を目指していましたが、それを叶えられずにユニフォームを脱いだ先輩や同期、後輩たちがいました。みんなの悲願を叶えて、やっと恩返しができたと思いました」

もっとも印象に残っている試合というのは、2018−2019シーズンのサントリーとの決勝戦になるのでしょうか?

「もちろん、決勝戦も印象に残っていますが、たくさんあり過ぎて。入部1年目の『ジャパンラグビートップリーグ2008−2009』第12節横河戦も印象に残っています。後半から出場したんですが、ミスを連発してしまって、マツさん(松原裕司)からこっぴどく怒られたんです。その後、(林)慶鎬さんから期待しているから怒るんだと言われて、それが奮起するきっかけになりました。ほかにも、2010−2011シーズンの近鉄に逆転負けをした試合や2011–2012シーズンのNTTドコモに敗れた試合なども印象に残っています。たくさん試合に出場させていただいたので、1つに絞ることができないですね」

谷口選手というと、若い頃は『やんちゃ』なイメージでしたが、数年ほど前から落ち着いて大人なプレーヤーになった印象があります。何か変わるきっかけがあったのでしょうか?

「平尾さんから言われた言葉で変わることができました。平尾さんから『アタックセンスがあるのはわかっているし、それがお前の魅力でもある。けど、ラックで痛いプレーやしんどいプレーができるようになれば、選手としてさらに幅が広がる』と言われたんです。それから、タックルして、すぐに立ち上がって、ポイントにいってというように意識が変わりました。また、シンビンも多かったのですが、平尾さんからずっと『喧嘩をするな』と言われ続けたことで、そこも変わることができました。平尾さんは、マツさんや慶鎬さんにも『到に喧嘩をさせるなよ』と釘を刺していたみたいで、ある試合で僕がヒートアップする場面があったのですが、ファンの方々が見ている前で慶鎬さんから『落ち着け!』と一喝されたことがあります。その後、マツさんや慶鎬さんから平尾さんに頼まれたと教えてもらいました。平尾さんはあらゆる手段を講じて僕を変えてくれたと思いますね」

谷口選手が影響を受けた選手というのは誰なのでしょうか?

「チョッピー(アンドリース・ベッカー)、アンディー(アンドリュー・エリス)、ハシモ(橋本大輝)をはじめ、影響を受けた選手はたくさんいますが、1人挙げるとしたら、クーピー(アダム・アシュリークーパー)です。オーストラリア代表として大きな実績を残しているにもかかわらず、偉そうなところは一切なくて、誰にでもフレンドリーで、チームを盛り上げてくれる。クーピーがチームに加わり、外国人選手と日本人選手の距離が一気に縮まりました。プレーヤーとしてはもちろんのこと、人間性も素晴らしくて尊敬に値します。クーピーと一緒のチームでプレーできたことも良かったです」

てっきり松原さんや林さんの名前が出てくるものだと思っていたのですが、意外でした。

「マツさん、慶鎬さんは、言わずもがなです。1年目からずっと面倒を見ていただき、選手として人として育ててもらった。いわば兄のような存在です。そういう意味では、(元木)由記雄さんや大畑(大介)さんもそうです。由記雄さんからは先発だと思っていたらリザーブだったのでイライラしていた時に、一緒にグラウンドを走ろうと声をかけられました。そこで『到、悔しいか?お前の気持ちはわかる。けど、その悔しさを今後にいかすのはお前次第だぞ』と言っていただいたんです。その言葉は忘れることができません。本当に僕は人に恵まれていると思います。先輩だけでなく、同期や後輩も僕をあたたかく受け入れてくれて仲良くしてくれて、世界一の幸せ者です」

谷口選手にとってコベルコスティーラーズとは?

「家ですね。マツさん、慶鎬さんといった先輩方は兄ですし、同期も常に一緒というわけではないですが、何かあれば集まって団結する。先輩、同期、後輩、全員が家族のような存在です。そうじゃないと100kgを超えるような外国人選手に向かっていくことはできない。僕が抜かれたり、逃げたりすると、家族が痛い思いをしないといけませんからね。僕にとってチームは家であり、仲間は家族です」

チームに期待することとは?

「コベルコスティーラーズは個性的な選手が多く、華のあるチームです。これからもかっこいいチームであり続けてほしいですね」

では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。

「ファンの皆様も家族の一員です。4位、5位となかなかトップ4の壁を突破することができない苦しい時期もずっと応援してくださり、感謝しています。僕が成長できたのは、ファンの皆様のお陰でもあります。これからもチームのことを応援し、愛情を注いでいただきますよう、よろしくお願いします。13年間、たくさんのご支援ご声援をありがとうございました」

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