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ロングインタビュー

「ジャパンラグビートップリーグ2021プレーオフトーナメント」に向けて 山下楽平選手インタビュー

 取材日:2021年4月19日

「ジャパンラグビートップリーグ2021プレーオフトーナメント」に向けて 山下楽平選手インタビュー

2月20日に幕を開けた「ジャパンラグビー トップリーグ2021」もリーグ戦が終了し、負ければシーズンが終了するプレーオフトーナメントへと突入!ホワイトカンファレンス2位のコベルコスティーラーズは、4月24日の2回戦から登場します。今シーズン、開幕戦から全試合に出場し、安定したパフォーマンスを発揮している入部7年目のWTB山下楽平選手に、自身のプレーことやチームの戦いぶりなどについて語ってもらいました。

山下 楽平

RAKUHEI YAMASHITA

PROFILE
  • 1992年1月30日生まれ(29歳)、京都府宇治市出身
  • 枚方ラグビースクール→啓光学園中学→常翔啓光学園高校→京都産業大学→神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2014年4月入部)
  • ポジション/ウイング
  • 身長・体重/175cm・85kg

神戸がベストなラグビーをすればどこにでも勝てる。 昨シーズンの不完全燃焼な思いをすべてぶつける

チームとして戦っている

まず「ジャパンラグビー トップリーグ2021」に向けて個人的に取り組んできたことを教えてください。

「ウイングからのキックを強みにしたかったので、左足でもキックを蹴れるように練習してきました。それと、ボールタッチの回数を増やしたいと思い、練習から意識して取り組んできました。特に左足のキックはリーグ戦でも成果が出て、成長の手応えを感じています」

今シーズンのご自身のパフォーマンスについて、どう評価されていますか?

「これまでは自分がどうやって相手を抜くのか、自分がトライするためにどうすればいいのかなど、『自分』を主語にプレーしてきていたんですが、今シーズンはチームが勝つためにどこで貢献するのか、どういう風に動けば周りの選手をいかすことができるのかと意識が変わってきました。そうやってプレーすることで、自分自身のパフォーマンスが良くなったように思いますし、何よりチームとして戦っている感じがしています」

意識が変わるきっかけがあったのでしょうか?

「3年前、リーダーグループに入ったことも理由の1つです。リーダーグループに入るまでは、どこかでまだ教えてもらう側の感覚でいたのですが、チームがどうやったら良くなるのかを考えて、自分から意見を言うようになりました。また、DC(ダン・カーター)らトップ選手が加わり、彼らがチームに溶け込もうとしている姿を見て、考えが変わっていったところもあります。あと、怪我の影響もありますね。足首を2度骨折し、無理ができなくなってきました。これまで小さいながらもアグレッシブに当たりにいったり、ディフェンスの隙間を抜いていったりしてきましたが、このプレースタイルを貫くとまた怪我をするかもしれないという怖さが出てきて…。これまでとは違うプレーでチームに貢献しようと考えるようになりました。いろいろなことが重なり、意識が変わってきたように思います」

考えてプレーするようになった

チームマンとしてプレーしているんですね。

「そうですね。ただ、ウイングとしてうまくこなしはしているのですが、ちょっと物足りなさも感じています。僕はボールを持てば何かをしてくれると期待されるようなウイングを目指しているんですが、そこから少し外れているような気がして…。いろいろと考え過ぎているのかなって。例えば、第7節のNTTドコモ戦で、前半5分、ペレナラ選手に止められてノックオンをしてしまったんですけど、走っている2、3秒の間にいろんなことを考えてしまって…。ここでパスをしたらカットされるかなとか、タイミングを模索している中でミスをしてしまった。あとで試合を見直したら4対1という局面だったので、何も考えずもっと早くパスしていればトライに結びついていたのにと後悔しました。考え過ぎているところがありますので、シンプルかつ原点に戻ってアグレッシブにプレーしようと思います」

これまではあまり考えてプレーしていなかった。

「子供の鬼ごっこの延長で相手を抜きにいってトライをするような、自分の感覚と運動神経のみでラグビーをしていましたね。だから、自分が出た試合の映像を見直したり、何かスキルを伸ばすために自主練習をしたり、そういうこともやってこなかったんです。ですが、ウェイン(・スミス)から指導を受けるようになって変わりましたね。試合の映像もチェックしますし、他チームの試合を含めてラグビーの試合をたくさん見るようになりました。ラグビーがどうやったらうまくなるのか。自分には何が足りないのかなど、考えるようにもなりました。考えてプレーするようになったことは自分にとって大きな変化だと思います」

ウイングでもプレーするベン・スミス選手が今シーズン、加入しました。多くの選手から、そのプレーを手本とされるスミス選手ですが、山下選手から見たスミス選手はどうですか?

「チャンスにもピンチにも顔を出す、運動量の豊富さに驚きました。僕もそこは見習いたいと思っているのですが、まだまだですので、ベンダー(ベン・スミス)のような運動量を身に付けていきたいですね」

先日、日本代表候補選手が発表されました。山下選手の名前がなくて、残念に思われているファンの方も多いと思います。

「そう言っていただけることはありがたいのですが、自分のパフォーマンスを客観的に見て、代表レベルかと言われるとそうではありません。運動量を含め、レベルアップして、自分自身が納得して、日本一のウイングだと胸を張れるようなパフォーマンスを発揮できるように頑張りたいと思います」

みんなが同じ方向を向いて戦っている

では、リーグ戦でのチームの戦いぶりを振り返っていただきたいのですが、第7節のNTTドコモ戦は接戦になりましたね。

「リーグ戦の7試合の中で80分間プレッシャーをかけ続けてきた唯一のチームがNTTドコモです。昨シーズンとは全く別のチームになっていて、試合中ずっとプレッシャーをかけてきました。神戸がトライを奪って突き離そうとするけれど、盛り返されてしまって、最後の最後までどっちが勝ってもおかしくない展開になりました。神戸としては第4節のリコー戦と同様に取り切らないといけないところでミスが出てトライが取れずに良くない内容の試合になってしまいましたが、最終的に勝ち切ることができたことは大きい。開幕戦から試合を重ねるごとにチーム力は上がってきていますし、今後はプレーオフトーナメントに向けて1つ1つのプレーの精度を高めていければと思います」

優勝したシーズンや昨シーズンから戦術等の変化はあるのでしょうか?

「変わっていないですね。基本的にボールを動かして見ている人もやっている僕らも楽しい攻撃的なラグビーを目指しています。今シーズンは、対戦するすべてのチームが神戸を倒そうとしっかりと対策を取ってきていますし、ワールドクラスの選手が加わりどのチームも年々レベルが高くなっていると感じています。そういう中で相手を圧倒して勝つことの難しさはありますが、リーグ戦を振り返ると、全体的に出来不出来の波が大きかったと思いますので、そこは改善していかないといけません」

橋本(大)選手が今シーズンは選手一人一人がこれまで以上に目指すラグビーを突き詰めていこうとしていると話していました。

「それはありますね。過去2シーズンはDCとアンディー(アンドリュー・エリス)というリーダーシップのある2人が、神戸のラグビーをするためにはどうすればいいのかを明確に示してくれていました。今シーズン、彼らが退団し、選手全員がどうやって神戸のラグビーをしていくのかを考えるようになって、みんなの中に主体性が生まれたように思います。その上で意見がぶつかり合うこともありますが、みんなが同じ方向を向いて戦っているように感じています」

1日1日を大事に準備していく

コベルコスティーラーズはホワイトカンファレンス2位となり、レッドカンファレンス1位のサントリー、そのサントリーやトヨタ自動車と接戦した同カンファレンス3位のクボタといった強豪が顔をそろえる山に入りました。

「神戸はFWも強いですし、BKにもタレントが揃っています。相手がどこであれ、神戸がベストなラグビーをすれば勝つことができる。プレーオフトーナメントでベストなラグビーができるように、目の前の試合に向けて1日1日を大切に準備していきます」

では最後にプレーオフトーナメントに向けて意気込みをお願いします。

「連覇することを目指して戦ってきましたが、昨シーズンはコロナの影響でリーグ戦が中止になってしまい、不完全燃焼な思いがあります。昨シーズン成し遂げたかった連覇を今シーズン達成できるようにチーム一丸となって全力で戦います!応援よろしくお願いします!」

ありがとうございました!トップリーグ&日本選手権2連覇達成を期待しています。

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