インタビューInterview

close-up KOBE -Long interview-

2018.08.30 | 取材日:2018年07月12日

2018-2019シーズン、いよいよ開幕!INTERVIEW
ヘッドコーチ デーブ・ディロン

クルセイダーズ、ニュージーランド代表等で指揮を取り、数々の功績を残してきたウェイン・スミス総監督とともに、今シーズン、ヘッドコーチに就任したニュージーランド出身のデーブ・ディロン氏。提携関係にあるスーパーラグビー、チーフスのディベロップメント(育成部門)でコーチを務めたこともあり、コベルコスティーラーズとの関係も深い。ディロンヘッドコーチの目指すチーム像やラグビースタイルとは?ロングインタビューをお届けする。

デーブ・ディロン
Dave Dillon

PROFILE

■1975年5月5日(43歳)、ニュージーランド・ンガテア出身

■現役時代のポジション:FL、No.8

■経歴
ワイカト、ベイオブプレンティー、チーフス等でプレー。
2013年からチーフスディベロップメントのコーチを務めた後、2016年から2年間、NECグリーンロケッツでアシスタントコーチを経験。
2018年4月、コベルコスティーラーズのヘッドコーチに就任。

ウェインとは毎日連絡を取っている
−日本語が話せるそうですね。
「スコシ(笑)。神戸に来てから、週に1度、日本語のレッスンを受けています(ここまで日本語で)。日本人を指揮する上で言葉を理解することは、ジュウヨウ(日本語で)ですからね」
−NECグリーンロケッツで2年間、アシスタントコーチをされていました。コベルコスティーラーズとも対戦しています。その時のチームの印象は。
「何人かの選手は、チーフスディベロップメントで教えたことがありますし、(中島)イシレリはNECからコベルコスティーラーズへ移籍した選手です。彼らをはじめ、良い選手がそろっていて、しっかりコーチングもされている。戦うには嫌な相手でした」
−4月9日の初練習の際に行われた記者会見で、ウェイン・スミス総監督が、ディロンヘッドコーチはたくさんのチームのオファーの中からコベルコスティーラーズで指揮することを選んだと話されていました。その理由を教えてください。
「理由は1つではありません。まず、コベルコスティーラーズには、チーフスディベロップメントでかかわった選手がたくさんいます。また、チーフスとの関係で、平尾(誠二)さんとも数回会ったことがあり、平尾さんが選手やチームのことをどれほど深く思っていたかを知っていました。平尾さんが愛情を注いだチームを指揮できるということは名誉なことです。それに、ニック(ニコラス・ホルテン)のことは20年以上前から知っていますし、カンビー(スティーブ・カンバーランド)とも知り合いです。アンドレ(・ベル)は、ベイオブプレンティーでチームメイトでした。一緒に仕事をするコーチ陣にも知っている顔が多かったこともあります。あと、過去にコベルコスティーラーズでプレーしていたアンドリュー・ミラー、ディーン・アングレッシー、ロイス・ウィリスのこともよく知っていて、若い頃、彼らとワイカトでプレーしていたんです。そして、最大の理由は、ウェインとまた一緒に仕事ができるということでした。ウェインは、世界屈指の指導者。彼のもとで働けるということは、指導者としての私の成長につながります」
−スミス総監督はどのような指導者なのでしょうか。
「まず彼は非常に謙虚な人です。そして、インテリジェンスで、ハードワーカー。選手や一緒に仕事をするコーチたちのケアもできる。まさにプロフェッショナルなコーチと言えるのではないでしょうか。私にとってメンター(よき助言者、指導者といった意味)といえる存在ですね」
−スミス総監督とは、どれくらいの頻度で連絡を取っているのですか。
「ほぼ毎日です。ウェインの体はクラブハウスやグラウンドにありませんが、ニュージーランドで練習の映像を見られるような環境を作っているので、私から連絡をする前に、映像を見たウェインから連絡があることもあり、常にチームにかかわってくれています」

選手が考えて答えを出せるように
−コーチをはじめたのはいつからですか。また現役時代のポジションやいつまでプレーしていたのかを教えてください。
「現役時代のポジションはフランカー、ナンバーエイトです。コーチは、アイルランドでプレーした後、2009年から5年間、高校で教師をしながら、ファースト・フィフティーンの生徒たちを教えていました。その後、2013年から3年間、チーフスディベロップメントでコーチをし、2016年からNECへ。実はその頃まで、クラブチームレベルではありますがプレーしていました。当時はフッカーでもプレーしていたんですよ」
−練習に遅刻した選手を参加させないなど、ディロンヘッドコーチは、厳しいと聞きましたが。
「遅刻に関しては理由も大事です。家族が不慮の事故にあったなどは、仕方がない理由ですし。しかし、納得できない理由の場合は、帰ってもらいます。練習に遅刻しないことは当たり前のことですし、この選手は遅刻してもいいけれど、この選手はダメだというようにはしていません。どの選手に対しても誠実に接して、選手をケアしていきたいと思っています」
−どういうチームを目指していますか。
「コベルコスティーラーズは90年という長い歴史があるチームです。今、所属する選手はさまざまな理由で、このチームでプレーしていますが、90年の歴史あるチームでプレーできるということは、全選手の共通のモチベーションになるべきです。チームの過去を理解した上で、勝つために努力するチームにしていきたいと思っています。そのために神戸製鉄所の第3高炉を見学するといったレガシー活動を行いました」
−新体制になってから変化の1つにグラウンドに大型テレビが設置されました。
「ミーティングルームに長時間座って、ずっと話を聞きたい選手がいますか?グラウンドにテレビを設置する理由は、選手の注意力を惹きつけるための1つの方法です。ほかにも、選手が練習中の映像を自分たちで編集できるようにもしています。コーチは、選手に学び続ける環境を作ることが求められます。しかし、その環境は、選手が一方的に答えを与えられるものではなく、考える状況でなくてはいけません。毎回、答えを与えてしまうと考える力はつかない。私は、このチームで学びのプロセスを変えようとしています。なぜなら、コーチが試合をするわけではありません。試合中、選手が考えて、正しい答えを出して、プレーしないといけませんからね。それができるようになるために教えています。コーチングというのは、教育と同じだと思います」
−4月から変化は感じられますか。
「確実に変わってきていると思いますね。今日、選手と個別のミーティングをしたんですが、選手自ら映像を編集して持ってきました。しかも、その映像は、私も準備していた映像だったんです。自分で考えて正しい答えを出せる選手が増えてきていると思います」

フィールドを大きく使ってボールを動かすラグビーを目指す
−目指すラグビースタイルは。
「ボールを動かすラグビーをしていきます。フィールドを大きく使って、全員がかかわっていくラグビー。それが我々にとって勝つラグビーだと思います」
−そのようなラグビーを行うために、最初に取り組んだところはどこですか。また、6月のプレシーズンマッチの総括をお願いします。
「全員がボールを動かすことに対して自信を持つようにならないといけませんので、まずスキル練習からスタートしました。それと同時に状況判断の能力を上げるトレーニングにも取り組みました。プレシーズンマッチは、2ヶ月間でやってきたことを出していこうと話して試合に臨み、良いトライもたくさんありましたが、まだまだ成長させていかないといけない部分も出ました。ただ、2試合とも勝つことができましたし、全員が出場できたことは良かったと思います」
−プレシーズンマッチの後、モーリシャス共和国で開催された10人制ラグビーの国際大会「ワールドクラブ・テンズ」に参戦し、3位という結果でした。
「日本から参加しているチームは、我々だけ。日本のチームを代表しているわけですし、神戸製鋼という会社の看板を背負っていることを理解して良いプレーをしようと話していました。3位という結果は『良かった』と選手を讃えるべきかもしれないですが、やはり優勝したかったですね。この大会に参加して良かったところは、いつもと違う環境で戦って、グループとしての絆がさらに深まったところだと思います。もちろん、参加していない選手もいますので、帰国してからは、チームをもう一度ひとつにして、春からやってきたことを再確認しました」
−夏合宿でのフォーカスポイントを教えてください(取材日は7月12日)。
「6月から、試合と同じような高い強度の練習を行ってきていますので、予定されている2試合とNTTコムとの合同練習で、どれだけ高いパフォーマンスが発揮できるのか。特に、合宿期間中、最初に対戦するサントリーは、昨シーズンのチャンピオンチームです。そういうチームに対して、自分たちがどこまでできるのかをテストしてきたいと思います」

チームスローガンは『WE WILL』
−今シーズンは試合に出場できる外国籍選手の人数が増えます(4人から6人へ)。選手の起用についてはどう考えられていますか?
「サンウルブズやハイランダーズで戦っている選手はまだチームに合流していないので、答えるのは難しいですが、戦術的な要素を考慮しながら、うまく外国人選手を使っていきたいですね」
−まだ合流していない4選手をはじめ、チームには15選手が加わります。その中には世界トッププレーヤーのダン・カーター選手もいます。ダン・カーター選手に期待することとは。
「DC(ダン・カーター)には、フィールドだけでなく、フィールドの外でも、チームがより良いチームカルチャーを築くために力を貸してもらいたいと思います。そのほかの選手も、プレーヤーとして高い能力を持ちながら、人間性も素晴らしい。特に日和佐(篤)は、意識が高くプロフェッショナルです。入部以来、豊富な経験をほかの選手に伝えてくれています。新しい選手も、チームをさらに良くするために動いてくれています」
−チームスローガンは『WE WILL』。随分抽象的ですね。
「そうですね(笑)。WE WILLは、今シーズン、優勝するために自分たちがやるべきことをやっていくという意味のキーワードなんです。優勝という目標に向かってしなくてはいけないことは、選手によって違います。でも、I WILLではなく、WE WILLとしたのは、最終的にチームとして成し遂げることなので、WE。私を含めて、全選手、スタッフ、優勝するためにやれることをすべてやっていきます」
−今シーズンの目標は。
「頂点に立ちたくない選手、コーチはいません。目標はただ1つ、トップリーグ優勝です。今シーズンはレギュラーラウンドが7試合しかありませんので、毎週、ベストパフォーマンスを発揮して、勝利を掴み取ります」
−では最後にファンの皆様へメッセージをお願いします。
「今シーズンのチームスローガンである『WE WILL』には、ファンの皆様も含まれています。応援してくださる皆様の存在は、我々のモチベーションの1つです。今シーズンは、関西で試合が多いので、会場に足を運んでいただき、大きな声援を聞かせてほしいですね。皆様と一緒に優勝を達成したいと思いますので、応援のほど、よろしくお願いします」

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