インタビューInterview

close-up KOBE -Long interview-

2018.03.01 | 取材日:2018年01月17日 (アンドリース・ベッカー)・2018年02月14日 (前田大輔)

退部選手インタビュー Part.2

取材日:2018年01月17日

今後はアシスタントコーチとして、世界一タフで、スマートなFWパックを目指します!

アンドリース・ベッカー
ANDRIES BEKKER

PROFILE

■1983年12月5日生まれ、南アフリカ・ケープタウン出身

■ポールルースジムナシナ→南アフリカ大学→ストーマーズ(現スーパーラグビー)→神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2013年入部/5年間在籍)

■ポジション/LO

■2017-2018シーズンまでの公式戦出場回数/62

■代表キャップ数/29(南アフリカ)

−ウインドウマンス中にファンクラブ会報紙のインタビューでレギュラーシーズン9試合を振り返ってもらいました。その時点で引退を決めていたのでしょうか?
「まだ決めていませんでした。引退を決断するのはとても難しく、秩父宮でのラストゲーム(順位決定トーナメント2回戦vs東芝ブレイブルーパス戦)はとても感情的になりましたね。15年間、プロ選手として世界一の選手になりたいという一心でトレーニングを積んできて、それが今日で最後と思うと寂しさがこみ上げてきました」
−ラストゲームはどうでしたか?また試合後は胴上げをされましたね。
「フィールドに立つ全員がハードワークしてくれて、すべてが素晴らしかったです。胴上げは予想していなかったのですが、円陣の後、ヤンブー(山下裕史)がビッグスマイルを浮かべながら、私の方に近づいてきたので、あっ、と思って(笑)。胴上げは一生忘れないですね。その後、ヤンブーが涙を見せないよう、すぐに背を向けて...。ヤンブーとはとても仲良くさせてもらっているので、その彼が泣いている姿を見たら、私も泣いてしまって。私自身すぐに涙を見せるタイプではないですし、泣くのは10年に一度くらいなのですが、ラストゲームの後はずっと泣いていました」
−大勢のファンの方がベッカー選手のプレーが見られなくなることを寂しく感じていると思います。
「今後はコベルコスティーラーズでアシスタントコーチとしてラインアウトを指導しますので、私の代わり、ではないですが(笑)、ファンの方々に応援したいと思ってもらえるような選手を育てていきます。ぜひ選手の成長を楽しみにしていてください!」
−来日当初、コベルコスティーラーズでキャリアを終えて、さらにコーチをするとは想像されていましたか?
「コベルコスティーラーズを現役選手としてプレーする最後のチームにしようとは思っていました。なぜなら、チームがとても居心地が良かったからです。ただ、コーチをしたいと思いはじめたのは、ここ数年くらいのこと。ギャリー(・ゴールド)がヘッドコーチに就任した時に、(伊藤)鐘史さんと一緒にラインアウトリーダーとして責任を与えられ、他のメンバーの成長の手助けをしました。それがとても楽しくて、やりがいを感じて。実際、そのシーズンのラインアウトはとてもよく機能していたと思います」
−どういうコーチを目指しますか?
「私のコーチング哲学は、ハードワークです。でもタフにやっていきますが、それと同時に楽しむことを忘れない。ギャリー・ゴールドのようなコーチを目指していきたですね」
−ギャリーから大きな影響を受けたようですね。
「スプリングボクス(南アフリカ代表)でも一緒に仕事をしたことがありますが、神戸で再び出会い、私にコーチになる可能性があることを示してくれました。そのことに対して感謝しています」
−ちなみにどのようなFWを目指すのでしょうか。
「世界で一番タフなFWパックを作っていきたいです。ただし、タフなだけではラインアウトもスクラムも機能させることができません。スマートさも必要です。ラインアウトのコールができたり、スクラムをオーガナイズできたり、プレーのサインもできるようなメンバーが何人か必要です。かつ、FW全員が、同じようにそれを理解できるようにならないといけません。世界一タフで、スマートなFWパックを目指したいです」
−厳しいコーチになりそうですね。
「それは分かりませんけどね(笑)。ただ、勝つためには、FWだけでなく全員がタフにならないといけないので、それを身に付けるには、厳しくて追い込んだ練習に多くの時間を割かないといけないと思っています。強いチームと対戦する時には、きつくて追い詰められた時間が絶対にやってきますので、その状況を切り抜けるためにも、そういうハードな練習をシーズン前にたっぷりやりたいと思っています」
−引退インタビューではなく、アシスタントコーチとしての意気込みになってきましたね。ところで、コベルコスティーラーズでプレーした5年間を振り返っていただきたいのですが。
「5年間はあっという間でした。来日当初は、私自身あまりよく喋るタイプではないので、すぐにチームに溶け込むことができませんでしたが、私が心を開いたら、ほかの日本人選手も打ち解けてくれて、素晴らしい時間を過ごすことができました。この5年間で、一生付き合っていける友人をたくさん作ることができたことは、私にとって財産です。それにこの5年間で、私自身、人として成長することができました。母国である南アフリカは、犯罪も多く、政治的な問題もあります。だから家族や親戚といった近い人間にしか気を許さないですし、自分を守る意識が強かったのですが、日本に来てから、心を開いて、新しいことにチャレンジしたいと思うようになりました。日本でプレーすることを選択して心から良かったと思います。私の妻も日本での生活をとても気に入っています」
−5年間の中でベッカー選手自身にとってのベストシーズンはいつになりますか?
「ギャリーが指揮をとったシーズン(2014-2015シーズン)ですね。気持ちの面でも充実していて、グラウンドで良いパフォーマンスを発揮することができました。あのシーズンはとても楽しんだ記憶があります」
−一番印象に残っている試合は?
「アリスター(・クッツェー)が指揮をとった年、2015-2016シーズンのヤマハスタジアムで行われた第6節vsヤマハ戦(○43-14)です。スクラムが強いヤマハにしっかり立ち向かって、モールでも圧倒することができましたし、素晴らしいトライをたくさんあった。あの一戦は完璧な試合でした」
−来シーズンは、コーチと選手の関係になりますが、チームメイトへメッセージをお願いします。
「新しいメンバーのことはわかりませんが、今いるメンバーのスキル、ポテンシャルを考えたら、必ず日本一になるチャンスがあると思います。あとは、優勝に向けて、どれだけハードワークできるか。来シーズン、一緒にハードワークしていきましょう!」
−では最後にファンの皆様方へメッセージをお願いします。
「15年間、世界一の選手になるんだと思いながらラグビーに取り組んできました。今後は、コベルコスティーラーズを世界一のチームにするんだと思いながら、アシスタントコーチとして強化に取り組んでいきます。これからもあたたかいサポートをよろしくお願いします」

取材日:2018年02月14日

公式戦には出られなかったですが、選手として成長を感じた5年間でした!

前田大輔
DAISUKE MAEDA

PROFILE

■1990年10月7日生まれ、大阪府出身

■早稲田摂陵高校 → 近畿大学→神戸製鋼コベルコスティーラーズ(2013年入部/5年間在籍)

■ポジション/LO

−引退を決めた理由を教えてください。
「今シーズンは、何度も脳震盪を起こしてしまって、練習に参加できない期間がありました。復帰後にも再び脳震盪を起こしてしまって。公式戦出場という目標達成に向けて、まだまだラグビーを続けたい気持ちがあるのですが、引退することを決断しました。今後は社業に専念します」
−在籍した5年間はどういう時間でしたか?
「会社からバックアップしていただいて、素晴らしい環境を与えられ、やりがいを感じた5年間でした。学生とは違い、いろいろな方に支えられて応援していただいてラグビーをしているんだと、1日1日の練習に責任も感じて。その中で、トップレベルの選手に囲まれて刺激がいっぱいあり楽しかったですし、高校、大学とはまったく違う、質の高いラグビーを体感し、最先端のラグビーの知識を学べて、新鮮でした。公式戦には出場できませんでしたが、コベルコスティーラーズに入って選手として大きく成長できたと思います」
−成長できた5年間だったと。
「毎年、成長している感覚はありましたが、特に4年目、5年目は手応えが大きかったです。3年目のシーズンが終わった時に、次のシーズンは勝負の年だと周りからハッパをかけられて、普段の練習から意欲的に取り組むようにしました。ボールキャリーは得意だったので、それ以外のところ、特にブレイクダウン、タックル、ラインアウトのジャンプスキルを磨こうと取り組み、自信のあったボールキャリーでも良いキャリーができたと思いますし、良いタックル、ブレイクダウンもできたように思います。ジャンパーとしても、1年目よりは(苦笑)成長できたかなと。ただ、後悔するのは1年目からもっともっと積極的に取り組めば良かったなと。今と比べるとフィジカルが弱かったこともありますが、1年目は、トップクラスの選手ばかりいる環境に縮こまってしまって。1年目からもっとガツガツやっていればと後悔しています」
−影響を受けた選手はいますか?
「橋本(大輝)さんと(伊藤)鐘史さんですね。まず橋本さんはプレーもさることながら、人としても素晴らしい。練習後、1人でトレーニングルームの掃除をしている姿を何度も見ましたし、それにキャプテンをずっとされていたこともあり、リーダーシップがあります。そして、チームに対する思いが誰よりも強い。鐘史さんは同じポジションですし、プレーの1つ1つが勉強になりました。特にブレイクダウンとタックルは見習いたいなと思って、よくプレーを見ていました。あと言葉に重みがある。尊敬できる先輩たちとラグビーができて、幸せでしたし、充実していました」
−一番印象に残っている試合は?
「練習試合にしか出ていませんが、昨年7月に行われた練習試合vsサントリー戦(●7−31)は、1つ1つのタックル、キャリーを思い出すことができます。あの試合は、公式戦に出るためにアピールする絶好のチャンスだと思い、後半から出場し、40分間、必死で動き続けました。そこで、強いサントリーを相手に、ボールキャリーもでき、ディフェンスも手応えを感じて。5年間で一番がむしゃらにプレーした試合でした」
−チームメイトにメッセージをお願いします。
「同期、先輩、後輩、いろんな人と出会えて、夢のような時間を過ごすことができました。みんなには、まずありがとうと伝えたいです。そして、同期の田中(大治郎)、沢居(寛也)。二人とは、常に一緒に行動して楽しかった。これからも頑張ってほしいですし、応援しています。来シーズンこそ、みんなで力を合わせて、優勝をもぎ取ってください!期待しています」
−では最後にファンの皆様方へメッセージを。
「『頑張れ!』といつもあたたかい声をかけていただいて、ファンの方にも恵まれた5年間だったと思います。応援してくれるファンの皆様に、公式戦のグラウンドに立っている姿を見せたかったのですが...。それができなかったことが悔やまれます。ファンの皆様には感謝の気持ちしかありません。5年間、ありがとうございました!これからもコベルコスティーラーズの応援よろしくお願いします!」

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