Interview
すべてを出し切った!

―いよいよ開幕が迫ってきましたね。

そうですね。シーズンインまでにできることは全てやって、トップリーグに気持ちよく臨みたいと思っています。

―ではまず夏合宿についてお伺いしたのですが、かなり厳しい練習が行われたらしいですね。

試合に向けての調整などは一切行われずに、毎日練習、練習、練習でした。ほんと、キツかったですね(笑)。

―3試合の練習試合が行われ、1勝2敗。注目のサントリーサンゴリアス戦は28-52という結果でしたが。

春は練習量、質ともに日本一と思えるぐらい厳しい練習をしてきました。そして夏合宿に入り、サントリーさんと試合をして大差で敗れて、ほんの一瞬ですが『これだけやってきたのに』という思いが頭をよぎりました。しかし、あの試合を経験することで、僕たちがやってきている“超攻撃的ラグビー”に何が足りないのかがよく分かりました。もし、あの試合をせずにシーズンインしていたらと思うと…ちょっと怖いですね。それぐらい多くの課題が出た試合でした。

―具体的にその課題について教えてください。

まずはセットプレーです。サントリー戦、NEC戦と、ラインアウト、スクラムの部分でやられてしまったので、この点に関しては夏合宿以降、必死で取り組んでいます。それと、ディフェンスの“理論”の部分で1つ考えが増えました。“超攻撃的”というところで、アタックばかりがフォーカスされていますが、ディフェンスがゼロになる試合はないわけですよね。強いチームとの対戦になってくると、ボール獲得率が下がってくる。そこで、どうやってディフェンスからアタックに切り替えるのか。ただ守っているだけだったら、ずるずるとラインが下がって、いつかはトライされてしまいます。だから、どんどん仕掛けていってボールを奪ってアタックに変えるんです。もちろん今までもターンオーバーするシーンはありましたが、それはあくまでも偶発的なことであったんです。「あ、(ボールを)獲った!」、そしてアタックラインを引く。それを今度からは「これは獲るな、獲った、よし、アタックしよう」と。ほんの少しのことですが、こういう考えを全員が持っているだけで、試合の流れが変わるんです。相手チームにしてみたら、アタックしていたのに、いきなりディフェンスすることになる訳ですから、うちのチームからすると大きなチャンスなんです。だから神戸はディフェンスからもアタックするんですよ。春は、アタックからアタックしかできませんでしたが、今度からはアタックからでもディフェンスからでも攻撃するんです。そのためにボールを奪うためのスキルをどんどん構築していって、それを目指すラグビーに落とし込んでいっています。

―「ディフェンスからもアタック」という訳ですね。

もちろん、こういう考えは昔からありますし、実際、NECさんはそれをずっと実践されてきています。けど、僕たちのチームは今年3月から理論を構築し始めたばかり。だからこういう考えを持つということが重要なんです。

―その考えを持つことでチームは変わりましたか?

すごく変わりましたよ。理論にしても、それを体現するフィジカルにしても春から積み上げてきたものがあるので、みんなすごく吸収するのが早いんです。激変していっています。それと、ディフェンスのシステムを少し変えたんです。これも止める考え方が今までと違うんですけどね。

―それに関しても具体的に教えていただけますか。

サントリーさんと対戦した時に、向こうの前に出るディフェンスにやられてしまったんです。それに対抗する策として、まずバックスはスペースと考える時間を与えないディフェンスを徹底すること、フォワードはインサイドからのプレッシャーを徹底することにより、バックス、フォワード一体となった組織的なディフェンスを再度確認する必要があるなって。そこで僕らは“アップ・ディフェンス”と言っているんですが、相手のスペースを徐々に奪っていって、パスをさせないようなディフェンスシステムに取り組み始めたんです。相手はパスができないから、ディフェンスにぶつかる。そうしているうちに、どんどん相手アタックラインは下がっていく。そこで僕らはボールを獲って、ディフェンスからアタックに変える。もちろん、そんな前に出るディフェンスに勝つための策も構築していっています。

―いつから取り組み始めたんですか?

IBM戦の後からなんですが、その3日後に行われたNEC戦でこのディフェンスシステムを試してみたんですね。その時に自陣22m相手ボールラインアウトからラックになったんです。それでNECさんのアタックをうちが止めたのがハーフウエイライン付近。ディフェンスしているのに上がっているんですよ。NEC戦は敗れましたけど、僕たちが取り組んでいることの成果がよく出た試合だったんです。たった2日間の練習で、ですよ!このチームは新しいエッセンスを加えれば加える程、伸びると思いましたね。みんなもそう思っているんじゃないかな。

―チームの雰囲気はかなり良い感じですね。

そうですね。自分たちが成長している手ごたえを感じていると思いますし、みんな熱いですよ。

―前回のインタビューでは、チームのみんなの“熱”を引き出すことがキャプテンの仕事のひとつだとおっしゃられていましたが。

今は自然にみんなが熱くなってくれています。春の時点では僕が何かしなければダメかなと思っていましたが、今は違います。“熱”が伝わってきているというのでしょうか。ベテランの方々も率先して声を出してくれて、すごくうれしいですよね。ホント、みんなに支えられてキャプテンをやっていっています。

―開幕を控え、後藤キャプテン自身、新たに取り組んでいることなどがあれば教えてください。

パスのスキルを向上させたいですね。相手チームがアップ・ディフェンスのようなディフェンスをしてきた時に、そのディフェンスの早さに勝るパスが放れるようになりたいんです。ディフェンスがついてくることができないような早いパス。これは平尾総監督にも求められていることですし、自分のものにしたい。今はそれに取り組んでいます。

―後藤キャプテン自身の中で特に意識しているチームはありますか?

昨シーズン、敗れているサントリーさんともちろん東芝さんですね。この2チームに理論で負けたくないです。サントリーさんの核が「スクラム」、東芝さんの核が「モール」。うちは守っていてもターンオーバーして一気に攻める。そのために「一瞬のスキも逃さない」。それが超攻撃的ラグビーの核なんです。分かりやすい形ではないけれど、スキを見逃さず、ボールを奪った瞬間、一気にゴールラインまで駆け上がる。それで勝ちたいです。

―今シーズンこそ、優勝を飾って欲しいと思います。ファンの方々も期待していますよ。

では最後に今シーズンの抱負をお聞かせください。アタックからでもディフェンスからでも仕掛ける面白いラグビーをしたいと思っています。そのためにはシーズン中でも変革すべきことは変革し、ファンの方々に応援されるのに相応しい魅力あるチームにしたいですね。そして、今シーズンこそ「もうラグビーは当分やりたくない」、ファンの皆さんも「もうラグビーは当分見たくない」って思うぐらいに長いシーズンとなるよう頑張ります!

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